バッハを弾く時の練習の仕方

ある程度楽譜が読めるようになり、指も動くようになると、生徒たちはバッハの作品を勉強するようになるわけですが、バッハを好んで弾く子はあまりいませんね。笑(^-^;

好まないどころか気嫌いするこも少なくありませんね。

私は個人的にバッハの作品は聴くのも弾くのもとても好きですが、やはり他の作曲家にない難しさはありますね。

特にチェルニーなどの練習曲集やソナチネやソナタ集などをそれまで練習してきた子たちにとっては、バッハの作品は猛烈に「特徴的」な存在を与えます。

でも実はチェルニーもモーツァルトもベートーヴェンもそうした作曲家は皆バッハから学んだわけですが・・・

そんな事情知ったこっちゃない子供達にとっては、「厄介」としか感じないこともあるわけです。

ではそんなバッハの作品とどのように向き合うべきなのか。どのように勉強すると「厄介」から「楽しいもの」に感じるようになるのかについてここで紹介しながら、一緒に考えていきましょう。

Contents

1、バッハについて知ろう

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バッハを弾いている生徒たちの何割がちゃんとバッハについて知っているでしょうか。

どんな時代にどこでどのような立場で、どのように音楽をして生きた人だったのか・・・そして後世の音楽家にどれほどの影響を与えたのか。

そしてその時代の音楽の特徴はどんなものだったのか。

最低でもこのぐらいは小学生でも知る必要はあります。

そのうえで勉強することは、無知の上で楽譜を弾くのとは全く違ってきます。

気をつけないといけないのは、音を弾かなきゃいけない状態にならないこと。そのような状態に陥らせないこと。

どのように音を出し、どんなふうにモティーフを浮き立たせるかを少なくとも考えさせなくてはなりません。

また、バッハのようなバロック音楽の場合は当時使っていた楽器はハンマークラヴィアやチェンバロです。今私たちが弾いている「ピアノ」とは全く違った構造の楽器になります。

そのこともバッハを弾く上でとても重要になってきます。

必然的に「歌い方」がショパンやモーツァルトなどとはまた違ってくるからです。

バッハは歌ってはいけないのではなく、ただ歌い方が違うだけということも講師側は伝えなくてはなりませんね。

2、声部ごとの練習

バッハの作品を練習する上で欠かせないのが各声部の存在です。

生徒たちはバッハを勉強するまでには、基本的に伴奏は左手、右手はメロディと知らず知らずのうちに脳に蓄積されているはずです。

ですがバッハの場合はそうでは無くて、全ての声部が主役であり対等です。

分かりやすく例えるならば、『かえるのがっしょう〗を何人かの子たちで少しずつ歌い始めをずらしながら歌っているイメージです。

バッハで言う各声部とは、『かえるのがっしょう〗を歌う何人かの子たちを示します。

全員が主役ですよね。誰かがメロディーで誰かが伴奏ではなく、みんなが主役なのです。

でもそれぞれのパートには主張するところ、音量をひかえるところなどがあり、いつも全員が主張ばかりではいけなくて、そのバランスをとりながら全声部を弾き分けることがバッハの作品には求められます。

因みに、日本のピアニスト史上最年少の12歳でデビューした牛田君は、17歳になった今もバッハの作品を勉強するときは各声部を色分けしてクーピーで塗るそうですよ(#^^#)

ついついよくあるのが、モティーフだけを際立たせえよう戦法ですが、これはなんとなく各声部にモティーフがあるんだなということだけは分かりますが、これではバッハの作品の勉強をする意味がありません。

先ずは全部の声部をそれぞれ歌えるようにしなくてはなりません。

そして各声部ごとの練習です。この時録音にとってみると良いでしょう。

同じモティーフだったり同じ音型の場所を違うアーティキュレーションで弾いていないかのチェックです。

一番上の声部は全て右手になるのであまり苦労をしなくとも、左手で弾く声部や、右手と左手で弾く声部はなかなか大変です。

ここの練習をとても大切にやることが大事です。

3、弾きながら別の声部を歌ってみましょう

各声部がそれぞれ弾けるようになったことを録音で確認したら、今度は弾きながら別の声部を弾かずに歌ってみましょう。

歌う際は、実際に弾く時と同じアーティキュレーションで歌いましょう。

テンポは遅くからで良いです。

大事なのは「テキトーにならないこと」「曖昧にしながら弾かないことです。」

つられてしまってぐちゃぐちゃになったり、各声部での練習で出来ていたアーティキュレーションが変わってしまったり、曖昧になってしまうようであれば、その声部だけを弾き、次に歌いながら弾く練習を繰り返しやるようにしましょう。

少しずつ確実になれます。ですから慌てて両手で合わせないようにしましょう。

4、モティーフだけを拾って弾いてみましょう

さて今度は、モティーフだけを拾って弾いてみましょう。

この練習は、モティーフがどのように掛け合いになっているかを把握するための練習です。

「気づいたらモティーフすぎてた・・・(‘_’)」みたいなことにならないように、全声部を合わせる前にもう一度全体を把握しておきましょう。

5、ようやく全声部を合わせる

ここまで来たらようやく、全声部を合わせてみましょう。

しかしあくまでスローテンポで・・・。

全体を通して苦手なところが浮かび上がってくると思います。

そしたらそこの前後だけ集中的に練習をしましょう。

またこの際も録音して確認しながらの練習をすると良いですよ。

客観的に聴くことでモチベーションも上がりますし、出来ていること、そうでないことが明確になります。

最後にもう一度・・・

バッハの作品は一見ショパンやリストなどの後世の作品に比べて、ちょっと堅苦しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはなく、「歌い方」が、古典派のモーツァルト、ベートーヴェン、ロマン派のショパンやリスト、とは大きく違うだけなんです。そのことを理解するためにも、知識をもつことと、実際に演奏会に行きバッハを聴くことをオススメ致します。