ツェルニーとハノンのそれぞれの役割

代表的な練習曲集としてハノンとツェルニーがありますね。

この教材の両方を勉強している生徒さん、又はどちらかを勉強している生徒さんは沢山いらっしゃるでしょう。

また、保護者の方には「名前は聞いたことある。」という方も沢山いらっしゃると思います。

この2つの教材は両方とも「練習曲集」ですが、実は全く違った目的があるんですよ(/・ω・)/

今回は、そんな2つの練習曲集のそれぞれの目的とその違いついてご紹介していきたいと思います。

Contents

ハノンとツェルニーの違いを比較!

ハノンの特徴と目的

  • 初見に時間をかけずに弾くことが出来る。
  • 指の良い運動になる
  • なかなか練習する時間がとれない人がその力を落とさないために、短時間で必要最低限なトレーニングができるようになっている。

ツェルニーの特徴と目的

  • 譜読みの力が身に付く
  • 高度な技巧を習得するための練習
  • 音楽的な基礎感覚を身に付けることが出来る。

さて、これを見ただけでも2つの教材には、それぞれ違う目的や特徴があるのがわかりますよね。

練習曲集と一言に言っても、それぞれの練習曲集にはそれぞれの目的があり、そのために書かれているんです。

また、その曲集の目的については必ず楽譜の冒頭に書かれています。

そこには作曲家のことについても少し紹介があります。

ですから、いまどちらかの教材で勉強している生徒さん、もしくは両方の教材で勉強されている生徒さんは、是非読んでみてくださいませ。(^^♪

では次にもう少し詳しく2つの教材について紹介していきますね。

ハノンとは?

皆さん、ハノンって人の名前なのご存じでしたか? 🙂

本名はシャルル・ルイ・ハノンです。

1820年に生まれ1900年に亡くなったフランスの作曲家です。

そしていま私たちが使っているハノンは、実はハノンが書いた練習曲集のうちの一冊なんです。

そして「全訳ハノンピアノ教本」として広く知れわたったわけですが、この教材の本当の名前は「ピアノの名手になる60練習曲集」というもっとわかりやすく長い名前がついているんですよ(#^.^#)♪

日本では全訳ハノンピアノ教本が広く知れわたっていますが、それは先ほどにも書いたように「指の練習曲集」なわけですが、この他に、

  • 初歩のピアノ教本
  • 大作曲家の名曲より要約

などがあり、もちろんそれぞれには、全訳ハノンピアノ教本とは違う目的があります。

さて、ハノン練習曲集の中身についてですが、先にも書いたようにこの練習曲集は実に譜読みがしやすく作られています。

それには2つの要因があります。

1つ目は、右手と左手が全く一緒ということ。

2つ目は、同じ音型の繰り返しだからです。

譜読みに時間がかからないということは、より指の訓練に時間を費やすことができるということです。

一見単純な音型を並べただけの楽譜に見えるかもしれませんが、そんな音型一つ一つの中にもハノンの教育者としてのあたたかさを感じます。

そしてその音型一つ一つにも勿論意味があります。

その一曲一曲の目的についてもハノンは曲の冒頭にきちんと書いてくれています。

また、楽譜の4~7ページには、変奏例や変化形がずらっと並んでいます。16分音符で書かれた音型を変化させて練習することで、リズムの勉強、指の訓練になりますので是非実践、活用してみてくださいね。

この他にも、ハノンを弾くうえでのポイントや注意点が楽譜に書かれています。一文字一文字楽譜に書かれたことも読み、是非ご自分の練習にお役立てくださいね。

ツェルニー

さて続いてツェルニーです。

ツェルニーもハノンと同じように作曲家の名前です。

本名はカール・ツェルニー。

1791年に生まれ、1857年に亡くなったウィーンの作曲家です。

実はツェルニーはベートーヴェンの弟子であり、リストの先生だったんですよ。 😀

ツェルニー練習曲集は100番、30番、40番、50番、60番などがあります。

難易度は100→30→40→50→60というようにして上がっていきます。

100番は初歩の練習に使われ、基本的な譜読力と技術を身に付けるために書かれています。

しかし100番練習曲集は名前の通りなんと100曲もの練習曲で構成されています。 😐

100番の練習曲集の次は30番練習曲集になります。

この曲集も名前の通りの曲数で構成されています。つまり30曲です。

100曲に比べるととても少なく感じますよね♪

しかし30番は100番に比べて技術的な高度なものを求められます。

ここで言う「技術」とは、単に指が速く動くことだけではありません。

これがハノン練習曲との最も大きな違いであります。

楽譜に書かれている要求(作曲家のメッセージ)を正確に読み取り、それに適した音色と響きをつくる必要があります。そのためにはまず楽譜の読み込みが必要になります。

ツェルニーは、実にそうしたメッセージをわかりやすく楽譜に強弱記号や音型を通じて残しています。ですから、私たち学ぶ者はそのメッセージを音として現すことによって応用しなくてはなりません。

そして、その為にはさまざまな技術が必要になるというわけです。

例えば1番を例にあげると、全体を通して一見シンプルに見える楽譜ですがこの中にも勿論ツェルニーのメッセージが非常にわかりやすく隠れています。

冒頭の強弱はピアノで始まっていますが、8小節目にクレッシェンドあると、9小節目にはフォルテになります。では冒頭と9小節目を比較してみましょう。

9小節目はソの音が2分音符になり、滑らかだった左手は和音のスタッカートになっていますね。

このようにツェルニーは強弱の変化に合わせ、音型もそれに相応しいキャラクターに変えているんです。つまり私たちは非常に簡単にフォルテの効果を得ることが出来るようになっているのです。

しかし、それでさえ強弱を無視して指だけ動かそうとする生徒さんも沢山いらっしゃいますね。

ツェルニーはこうした楽譜の読み込みで学べることが沢山盛り込まれています。

このようにして楽譜から読み取れることを沢山探して音型一つ一つにも興味を持って練習すると、非常に音楽的に弾くことができますよ 😀

ハノンもツェルニーも両方ともとても大事な教材です。

一曲一曲を流さずに丁寧に向き合って勉強することで、退屈な練習曲もとても意味のあるものとなります。

頑張りましょう♪